全体として
納得できるトピックや意見ばかりで、頷きながら読み進めていきました。ただ裏を返せば、新たな知見が増えたようには感じることが少なかったです。以前から、自己啓発本にハマって読み漁っていたり、お金について勉強したり、ブログのノウハウ本を読んでいたりしていたので、「これどっかで読んだな」と感じることが多かったのだと思います。
ただ本書はソフトウェア開発者が想定読者となっているだけあって、プログラマーである僕としては「キャリア」について述べられているパートは興味深かったです。
なんとなくプログラマーとして働いていて今後のことは何も考えられていない......という人は読んでみると刺激がもらえるかもしれません。
本書は60章以上となかなかボリューミーですが、ひとつの章の中でその章の趣旨を何度も繰り返す文章になっていたので、すべての文を真面目に読まなくても十分だと感じました。興味のない章は飛ばしても問題ないです。本書のエッセンスだけを読み取るだけであれば、ページ数の割に時間はかからないと思います。
特に印象に残った章をピックアップ
第1部 第2章 スタートから派手にいこう!:誰もがするようなことはするな
ソフトウェア開発を行う自分自身を事業と捉えること。企業に所属している会社員だとしても、この意識があるかどうかがキャリア・マネジメントに大きな影響を与える。自分のことを事業者だと捉えることで、より良い判断ができるようになる。
僕はすでにフリーランスなので、れっきとした事業者であるが、常駐して働いていると事業者意識が薄れることがあるので注意したい。
第1部 第6章 雇用形態:三つの選択肢を理解する
「会社の従業員」「独立系コンサルタント」「アントレプレナー」と、ソフトウェア開発者の雇用形態は三つあることを知っておく。
第1部 第7章 あなたはどのタイプのソフトウェア開発者か
ソフトウェア開発者にとって、専門性を持つことは非常に重要。メインで扱っているプログラミング言語を専門にしただけではキャリアにおける優位性は生まれない。
例えば僕はいまJavaで業務を行っているが、「Javaプログラマー」というだけでは希少性がない(弱い)。 よりニッチな専門性を持つことで、市場は限定的になるが希少性が高まる。専門性をつくる、または伸ばす努力をしていくこと。
第1部 第15章 遠隔勤務サバイバル戦略
遠隔勤務、つまりリモートワークのこと。著者いわく、自宅で働けるというのは魅力的であるが、その半面課題も多々ある。それは時間管理、モチベーションの維持、孤独感の3つ。
僕はリモートワークは未経験だが、どれも想像に難しくない。いつかリモートワークをしたいと考えている身として、非常に興味深い章だった。
第1部 第16章 うまくやり遂げるまではできたふりをしよう
以前、イベントの司会を担当することになったとき、司会のうまい友人になったつもりで振る舞ったところ非常に上手くいったことがある。
そんな経験があるので「できたふりをする」というこの章の内容に強く共感した。ただ、「できたふりをする」のもそう簡単ではない。。。具体的に誰かをイメージできると(司会のうまい友人など)できたふりがしやすいかもしれない。
第2部 第20章 自分だと気づいてもらえるブランドを確立しよう
セルフマーケティングとして、自分をブランド化する重要性について述べられている。重要なのはそのとおりだと思うが、ブランディング自体が目的にならないように気をつけたい。
Twitterなどで実績や経験がない(または明らかにされてない)のに大きな発言をしてフォロワーを煽りブランディングしている人を見かけると、それはちょっと違うのでは、、、と思うので......。
第2部 第21章 大成功するブログの作り方
著者は、自分の成功の大半はブログによるものだという。僕はブログによる情報発信がきっかけとなり有名になった人を知っているし、僕自信、趣味ブログを含めると2年以上ブログをやってきたのでブログによる影響の大きさは理解している。
他のプログラマーの皆さんに少しでも役に立つ情報を発信していきたい。それが自分のスキルアップやキャリアに結果的につながる、はず。
第2部 第22章 最大の目標:他人のために価値を生み出せ!
自分の利益でなく、他人のために活動する重要性について。僕はこれまで「仕事ができるようになりたい」と願っていたが、自分に目を向けてばかりいたので大きなキャリアアップができなかったと思っている。
仕事ができるようになりたいと思うことは悪いことではないけど、それ以上に「よりよいプロダクトをつくるために何をするか」「お客さんや同僚を助けるために何ができるか」に目を向けることのほうが大事。
というか、他人のために価値を生み出せる = 仕事ができる、だと思う。
第2部 第26章 バカにされるのを恐れるな
無知であることを恥じないこと。失敗を恐れないこと。技術者をやっていると、どうしても知らないことが出てくる。知らないことを恥ずかしからず、知る努力をすること。失敗を恐れず、失敗を活かそうとすること。僕はまだ技術者として未熟だけど、常に前を向いていたい。
第3部 第33章 教える:学びたいなら教えよう
教えることで自分自身の理解も深まるというのは良く言われることである。直接教える後輩や同僚がいなくても、ブログやQiita、スタックオーバーフローといったサービスを通して教えることができるので、自分が得た知識はできる限り発信していく。
第4部 第38章 ポモドーロテクニック
ポモドーロテクニックは以前より実践しているが、著者のように1日に何ポモドーロ、週に何ポモドーロ達成できたかということは意識していなかった。ゲーム的に楽しめそうだと思ったので、今後はポモドーロ目標をたてて実践する。
第4部 第39章 以前よりも安定して多くの仕事ができるワケ
クォータを設定しようという提案。クォータとは、週にブログを1記事投稿する、1日10ポモドーロ実践する、といったノルマのことである。僕はこれまで、こういったノルマを設定したことがあったがあまり長続きしなかった。
無理があるクォータだと思ったら、クォータを下げればいい(週1記事から月1記事投稿にするなど)。まったく何もしなくなるより、マシ。
第4部 第43章 時間を浪費するメカニズム
著者は、ツールを使って時間の使い方をトラッキングすることを勧めている。僕は「Timesheet」という有料アプリを使って時間の使い方を記録していて(AppleWatchで手軽に記録できるのですごくおすすめ)、無駄な時間がどのくらいあったか把握できるようにしている。
仕事や趣味ばかりしていて家族との時間をおろそかにしていないか、というチェックにも役立っているので、引き続き記録していきたい。
第4部 第47章 ハードワーク:その価値とできないワケ
より賢く働くことは大事だということを認めつつ、成功のためにはハードワークは避けられない、と著者は述べている。ブラックな労働環境が話題となっている昨今の日本では、ハードワークは避けるべきもの、という意見が多いが、目的達成のためには歯を食いしばって踏ん張らなければならない場面も出てくるだろう。
仕事は楽しくやるべきだという考えは変わらないが、同時にハードワークを受け入れる覚悟も必要だということを再認識させられた。
第7部 第66章 正しい心構えを持つ:リブートしよう
プラス思考でいようとする努力をしようということ。不慮の事故が起きてしまったときに無理にプラス思考にしようとするのは難しいと認めつつ、選択を迫られたときはできる限りプラス思考で考えようと著者は述べている。それを繰り返すうちに、大きな壁にぶつかったときでもプラスに考えられるようになっていくという。
僕はどちらかというとマイナス思考であることを自覚している。無理にプラス思考になろうとするのではなく、一部分だけでもプラスに捉えられるようにしていけば少しずつ思考回路を変えていけると思った。
第7部 第67章 プラスの自己イメージを築く:脳をプログラミングする
第16章や第66章と同じような趣旨の内容。自己イメージを変えていく手法について述べられている。プログラマーだけでなく、あらゆる職業に通ずるライフハックだと思った。自分を「プログラム」だと思えば、思考回路を書き換えることなど簡単なような気がしてきた。
さいごに
第5部「お金に強くなろう」第6部「やっぱり、体が大事」はサラッと読んだのであまり印象に残っていません。プログラマー向けの本とは思えないほど細かく具体的に書かれているので、投資や筋トレに興味のある方はじっくり読んでみると良いと思います。
はじめに書いたように、どこかで読んだような内容が多かったものの、「プログラマーの人生」において重要であろうことが幅広く網羅されている良書です。
思考や態度をメンテナンスする意味で、数ヶ月に一回読み返すと良さそうです。