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森博嗣『すべてがFになる』を読んだ

先日読了した森博嗣さんのエッセイ『お金の減らし方』がキッカケで、『すべてがFになる』を読んだ。

※ネタバレを含みます。

著者の森博嗣さんは「小説を読まない、国語が苦手、文章を書くのも好きじゃない」のにも関わらず、バイトのつもりで小説を書いて(処女作は1週間で書き上げたらしい)億単位の印税を得た信じ難い人。『お金の減らし方』で語られていた著者の価値観は大変興味深かったけれど、それ以上に、どんな小説を書いたのかが気になってしまった(そもそも文章を書くことが好きじゃない人が、数あるバイトの中から小説執筆を選ぶ時点で常識を逸脱している・・・)

ということで半ば批評家気分で手に取った本書だけど、読んでみるとやっぱり「小説を読まない人が書いた小説」とは思えない。本作は副題に『THE PERFECT INSIDER』とあるように「密室殺人」がテーマのミステリー小説。音声認識やAIなどの最新テクノロジーを搭載した孤島の研究所が舞台となっていて、それらのテクノロジーが利用された事件が展開される。1996年時点で音声認識技術やらをネタにしていることに感心しつつ、密室トリックもよく出来ていると感じた。

著者はもともと工学部の助教授であった人だから、工学やIT技術に明るかったのだろうけど、それでもこんな小説が書けるとはやっぱり信じられない。僕はエンジニアで文章を書くことが好きだけど、小説なんて書ける気がしないし書こうという発想すらない。スゴイなあ・・・。

とはいえ、手放しで「面白かった」とも言えなかったりする。

まず本作の主人公「犀川創平」と「西之園萌絵」の二人にあまり感情移入できなかった。またトリック自体は面白かったけど、犀川が事件の真相に迫るシーンは唐突すぎると感じた。突然犀川の中の「計算が超得意な別人格」が発現し真相に辿り着いてしまうのである。

犯人の四季博士の動機がハッキリ語られないのもイマイチ。よく言えば「謎が残り、読者に想像の余地を与えている」とも捉えられるけど、ハッキリ書いてくれた方が良かったのでは、と個人的には思う。何事も「四季博士は天才だから常人には理解できない」で片付けられてしまってる感が否めなかった。

続編も読みたいと思うほどではなかったけど、久しぶり小説を読んでとても楽しい時間を過ごせた。小説もゲームと同じで、油断すると夜更かししてしまうから危険だ・・・。

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